身体がきつくなり農業を辞めて、農地を売却したい
Aさんの最初のご相談はそこからでした。
ご本人は最近体調が優れず、きつい農作業ができなくなってきたとのことです。
そのため、農業を辞めて、売却し今後の生活のための資産作りをお考えでした。
ただ、そのためには、乗り換えなければならないハードルがあったのです。
生産緑地の指定
Aさんの土地は、生産緑地に指定がありました。それは市街化区域内農地で、農業を継続することを条件として、相続税や贈与税の猶予、固定資産税評価額を農地評価とすることで、固定資産税の軽減をされる制度です。この指定解除をしなければ、次の手続きに進めません。
又、途中で農業を辞めればそれまで猶予されていた、相続税・贈与税を相続、贈与のときに遡り、本税と合わせて、猶予されていた期間に対応する利子税も支払う必要があります。
計画の再検討
Aさんの場合も同じで、農業を辞めれば、それなりの相続税を支払う必要がありました。
しかし、その前に不動産業者を通じて、農地の売却先の見込みがあり、その話がかなり具体的でした。
内容を検討・試算した結果、税金の支払いはなんとか農地の売却代金で支払うことができ、売却諸費用等を差し引いても、手元に納得できる金額が残ることが確認できたため、計画を進めることになりました。
具体的には、購入希望者と生産緑地指定解除、及び農地転用5条届出受理を停止条件とした、売買契約を結びます。
買取の申し出
とは言っても、すぐに生産緑地が解除されるわけではありません。
所定の順序を踏む必要があります。
そのため、市役所担当部署に、買取りの申し出を行いました。ここで買取希望価格も記入します。
添付書類としては、生産緑地買取申出書の他に、農業継続が難しいことが書かれた、医師の診断書が必須となります。
買い取らない旨の通知書
申出書提出から、約1か月後に『買い取らない旨の通知書』が来ました。
行政の事情により、買い取ることはほとんどないようですが、行政が買取る場合は、買取る旨の通知書が届きます。
農業従事者へのあっせん
行政が買わないことが決まっても、すぐには自由に売却できません。
つぎは、農業従事者へのあっせんが、行政により行われます。約2か月間待つことになります。
約2か月待って農業従事者からも、買取の希望がない場合にようやく、生産緑地の指定解除が行われます。
ただ、この通知は来ないので、時期が経過した段階で、自分で確認する必要があります。
農地法5条の届出書
生産緑地の指定解除が行われた後に行うことは、農地法5条の届出です。
これは、農地を農地以外のものに転用することを目的とした、所有権の移転の届出です。
地域の農業委員会に提出します。
届出に際しては、土地測量図面、工事計画書、排水計画、水利組合の同意書等も併せて提出します。
受理通知書の交付
農地転用5条の届出をしてから、約1週間程度で『受理通知書』が交付されます。
これでようやく、この農地の売買・転用が第三者とできるようになりました。
計画上、開発許可、盛土規制法許可、建築確認など農地法以外の許可等が必要な場合がありますが、これは購入者が遵守すべき内容です。
土地代金の受領
先に締結していた売買契約に基づき、買主により土地代金の決済、所有権の移転が行われます。
そこから、仲介手数料、登記費用等の諸費用を支払い、納税猶予されていた相続税を支払います。
その残額が自分のお金の増加分です。
実質的に、手元のお金を使わずに、農地をお金に換え、金融資産を増やすことができました。

